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川畠成道(かわばたなりみち)チャリティコンサート2024 パンフレット

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川畠成道(かわばたなりみち)チャリティコンサート

  • 2024年8月8日(木)豊洲シビックセンターホール5階 18:30開演(17:30開場)
  • 出演:
    川畠成道(かわばたなりみち)(ヴァイオリン)
    須関裕子(すせきひろこ)(ピアノ)

※やむを得ない事情により、出演者、曲目に変更がある場合がございます。予めご了承ください。

〈主催〉BIPROGY株式会社
〈協力〉公益財団法人 江東区文化コミュニティ財団 豊洲文化センター
川畠成道音楽事務所

♪このコンサートはチャリティコンサートとなっております。
障がいをもつ方の社会参加を支援する団体への寄付にご協力お願いいたします。

プログラム

  1. クライスラー:前奏曲とアレグロ ~プニャーニの様式による
  2.  シャミナード:スペイン風セレナーデ 
  3. モシュコフスキ:ギターレ Op.45-2
  4. ドビュッシー:組曲「子供の領分」より第6曲「ゴリウォーグのケークウォーク」
  5. ドビュッシー(ローレンス編):月の光
  6. サラサーテ:アンダルシアのロマンス Op.22-1 
  7. パガニーニ(クライスラー編):ラ・カンパネラ
  8. サラサーテ:序奏とタランテラ Op.43

本活動は企業メセナ協議会認定活動です。
https://mecenat-mark.org/

曲目解説にかえて
 ~川畠成道(かわばたなりみち) みずからの言葉で~

1.前奏曲とアレグロ ~プニャーニの様式による
Prelude and Allegro~in style of G.Pugnani 
F.クライスラー Fritz Kreisler(1875-1962)

この曲の始めの部分を聴かれて、まず何をイメージされるだろうか。私は大木が忽然と林立して風格と威厳をたたえた風景を想像させられる。そして木々の間の斜面を水が躍るように動き回って、時にはユーモラスに、そしてある時は勇敢に流れていくように映り、心も躍らされる思いがする。クライスラーはプニャーニ(1731-1797)の作風を模倣したと言われているが、本来のクライスラーの軽快な音楽とは趣を異にした魅力がある。

2.スペイン風セレナーデ Op.150
Sérénade espagnole, Op.150 (arr. F.Kreisler for violin and piano) 
C.シャミナード Cécile Louise Stéphanie Chaminade(1857-1944)

パリ生まれの名ピアニスト、セシル・シャミナードは、ヨーロッパを中心に活発な演奏活動を行い、とりわけ海を隔てた隣国イギリスでは定期的に演奏会を開き、名声を博した。一方、ゴダール門下の作曲家としても知られ、200曲あまりの作品を残している。
セレナーデとは古来恋人の窓辺で歌われる歌。本作は19世紀から20世紀にかけ活躍したピアニスト作曲家のシャミナードがピアノ曲として書いたものを、後にクライスラーがヴァイオリンとピアノ用に編曲した。シンプルかつ愛らしい旋律が印象的である。

3.ギターレ Op.45-2
Guitarre, Op.45, No.2 (arr. P.de Sarasate for violin and piano) 
M.モシュコフスキ Moritz Moszkowski(1854-1925)

この「ギターレ」は原曲はピアノ曲として書かれたが、題名の通りギター的奏法を思わせる箇所が随所に見られ、明るく伸びやかな旋律が歌われる。
19世紀から20世紀にかけての作曲家兼ピアノの名手であったモシュコフスキは、ピアノ協奏曲やオペラなど、数多くの作品を残したが、彼の没後、それらの大半は忘れ去られ、演奏される回数も極めて少なくなってしまった。ポーランド人の彼はドイツで音楽を学び、後半生はフランスへ移住し、パリで過ごした。また、最も知られている作品はピアノ4手のための「スペイン舞曲」と多国籍の側面を持ち、20世紀音楽界におけるナショナリズムを中心とした流れに飲み込まれてしまった感が強いが、時代も変わり世界の距離が縮まった現代において、再評価を受けるべき作曲家ではないだろうか。

4.組曲「子供の領分」より第6曲
「ゴリウォーグのケークウォーク」
Golliwogg's Cake-Walk
C.ドビュッシー Claude Achille Debussy(1862-1918)

ゴリウォーグとは、フローレンス・アップトンの絵本に出てくる黒人の男の子の人形。ケークウォークは黒人の舞曲の一種で、この作品は西洋音楽とアフリカの黒人音楽が融合した初期のものといわれる。中間部では、ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」の冒頭部分が引用されている。歯切れ良さとぎこちなさという相反するものが同居するユニークな作品。童心に帰り、まっさらな気持ちで演奏したいものである。

5.月の光
Suite bergamasque Ⅲ.Clair de lune (arr:A.Roelens for violin and piano)
C.ドビュッシー Claude Achille Debussy(1862-1918)

ベルガマスク組曲(ピアノ独奏作品)の第3曲で、ドビュッシーの作品中でも最も知られた曲の1つである。ポール・ヴェルレーヌの詩、月の光の1節に着想を得ており、1890年ドビュッシー28歳ころに作曲されている。この旋律から何を連想するであろうか。漂う月の光に照らされた詩の世界か、あるいは・・・・・。色彩の濃淡や移ろいゆく時の流れ、更には揺れ動く心の内までも描きだされているかのようである。

6.アンダルシアのロマンス Op.22-1
Romanza Andaluza
P.サラサーテ Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascuéz(1844-1908)

ヴァイオリニストであるサラサーテは甘美で純粋な音と圧倒的な技巧を駆使した曲を数多く残した。しかし、その技巧はパガニーニのそれが華々しい跳躍技巧を多く取り入れたものであるのに対し、(つまり、パガニーニ自身が柔軟で大きな手の持ち主であったためにそのような奏法が可能であった)、音色の美しさと細やかな運指を極限まで追求したものとなっている。しかも、いかなる超絶技巧曲であっても、つねに音の美しさを際立たせる作品となっている。
この「アンダルシアのロマンス」はスペイン舞曲集の第3曲で、最もスペイン的と言われているアンダルシア地方の民族歌曲の旋律を用いて作られている。伴奏が静かにリズムを刻むのに対し、ヴァイオリン・ソロが表情豊かな旋律を奏で、重音奏法など、名ヴァイオリニストサラサーテならではのフレーズをたどり、やがて冒頭の旋律を静かに回想するかのように幕を閉じる。

7.ラ・カンパネラ
La Campanella
(arr : F. Kreisler for violin and piano)
N.パガニーニ Nicolò Paganini(1782-1840)

パガニーニのヴァイオリン協奏曲 第2番3楽章をクライスラーが編曲した。演奏者によりテンポがかなり違うのが興味深い。数年前、陽気で冗談好きのイタリア人を思わせるような演奏を聴いたことがある。それもとても魅力的に感じたけれど、昔、聴いたウィーン風なおしゃれで粋な弾き方もいいものだと思ったりする。

8.序奏とタランテラ Op.43
Introduction and Tarantella Op.43 P.
サラサーテ Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascuéz(1844-1908)

タランテラとは高速の3連音符を用いた舞曲。その代表的な作品として、ベートーヴェンの「クロイツェルソナタ」第3楽章やヴィエニアフスキの「スケルツォ・タランテラ」などが挙げられる。それらの作品と同様、本作品も冒頭の抒情的な旋律に続き現れる細かな運指が長く続くことで、奏者にとっては多くの技術的な負担を強いられる。
しかし曲調としてはハ長調という調性が表すように、シンプルにかつ快活に奏することが求められるだろう。
まさにヴァイオリニストとして世界を席巻したサラサーテならではの作品だと思う。

出演者プロフィール

川畠成道(かわばたなりみち)プロフィール

1971年、東京生まれ。視覚障害を負った幼少期にヴァイオリンと出会い、音楽の勉強を始める。桐朋学園大学卒業後、英国王立音楽院へ留学。1997年、同院を同院史上2人目となるスペシャル・アーティスト・ステイタスの称号を授与され首席卒業。1998年、東京・サントリーホールにおいて小林研一郎指揮、日本フィルハーモニー交響楽団との共演でデビュー。その後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開し、毎年数多くのリサイタルと国内外の主要オーケストラと多数共演を行っている。2004年、英国にてマリア・ジョアン・ピリス、ハインリッヒ・シフ等と共にチャールズ皇太子主催のリサイタルシリーズに邦人アーティストとして唯一人招かれ、英国人ピアニストとのデュオで高い評価を得る。2005年、イタリア・ボローニャ歌劇場にて開催されたボローニャ歌劇場室内合奏団とのヴィヴァルディ「四季」の演奏は、満員の観衆が総立ちとなる喝采を受ける。2006年は、ユベール・スダーン指揮ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の日本ツアーのソリストに起用された他、米国、中国等でリサイタルツアーを開催。2007年、スロヴェニア国立マリボール歌劇場管弦楽団との共演でヴォルフ=フェラーリ作曲「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を日本初演、また同楽団のスロヴェニア公演でもソリストを務める。2011年には、欧州最高のオーケストラのひとつであるキエフ国立フィルハーモニー交響楽団の日本ツアーのソリストとして成功を収め、2013年、2019年にも再び共演するなど、着実な歩みを進めている。
CDは、1999年リリースのファーストアルバム「歌の翼に」(ビクターエンタテインメント)が20万枚の記録的大ヒットとなり各地で売り切れ公演が続出、大きな話題を集めて以来、2018年のデビュー20周年記念アルバム「J.S.BACH 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータBWV1001-1006」まで15枚をリリースしている。尚、デビュー10周年記念CD「ザ・ベスト」と11枚目のCD「川畠成道|クライスラーを弾く」、13枚目の「無伴奏の世界|川畠成道」は、「レコード芸術誌」で特選盤に選ばれている。
「徹子の部屋」、「スタジオパークからこんにちは」などのテレビ番組にも出演。エフエム世田谷「川畠成道のレディオ・ストリングス」では5年間パーソナリティーを務めた。弦楽器専門誌 「サラサーテ」における連載は、2007年より継続、好評を得ている。
デビュー当初より音楽活動の傍ら、積極的に国内外でチャリティコンサートを行う。
中学音楽鑑賞教材や高校英語・現代文教科書、高校入試問題やNHKラジオ高校講座「現代文」に映像や文章が使用される等、社会派アーティストとしても多方面に影響を与えている。
文部科学省スペシャルサポート大使。日本弦楽指導者協会関東支部所属。

川畠成道(かわばたなりみち)オフィシャルサイト
http://www.kawabatanarimichi.jp

須関裕子(すせきひろこ)Hiroko Suseki – piano

桐朋学園大学音楽学部卒業、同研究科を首席修了。16歳で第2回チェルニー=ステファンスカ国際ピアノコンクールにて第1位、併せてステファンスカ賞、遠藤郁子賞受賞。翌年ポーランド各地でリサイタルを行う。第18回園田高弘賞ピアノコンクール第3位。第16回宝塚ベガ音楽コンクール第1位。第3回国際室内楽アカデミー(ドイツ)にてグランプリを受賞。野平一郎氏プロデュース「ピアノ伴奏法講座」2008~2010年度受講生。ソリストとして、秋山和慶氏指揮・大阪フィルハーモニー交響楽団、長田雅人氏指揮・ふじのくに交響楽団、新田孝氏指揮・ニッポンシンフォニー、鈴木秀美氏指揮・静岡交響楽団、東京フィルハーモニー室内合奏団と協奏曲を共演。NHK-FMやTOKAIケーブルネットワーク「静響アワー」等に出演。室内楽・アンサンブル奏者として国内外の音楽家からの信望も厚く、堤剛氏をはじめ多くの演奏家のリサイタルやCD等で共演している。2018年2月、初のソロCD「La Campanella」リリース。
これまでに穐吉慶子、故寺西昭子、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、野平多美の各氏に師事。桐朋女子高等学校および桐朋学園大学非常勤講師(ナンバリズミック)。桐朋学園大学嘱託演奏員。

オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/hirorinpo/