BIPROGYプレゼンツ

川畠成道(かわばたなりみち)チャリティコンサート2023 パンフレット

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川畠成道(かわばたなりみち)チャリティコンサート

  • 2023年8月3日(木)豊洲シビックセンター5階ホール 18:30 開演(18:00 開場)
  • 出演:
    川畠成道(かわばたなりみち)(ヴァイオリン)
    寺嶋陸也(てらしまりくや)(ピアノ)

※やむを得ない事情により、出演者、曲目に変更がある場合がございます。予めご了承ください。

〈主催〉BIPROGY株式会社
〈協力〉公益財団法人 江東区文化コミュニティ財団 江東区豊洲文化センター
川畠成道音楽事務所

障がいをもつ方の社会参加を支援する団体への寄付をお願いします。

プログラム

  • タルティーニ:ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ト短調《悪魔のトリル》
  • ポルディーニ:踊る人形
  • ファリャ:スペイン舞曲 第1番 オペラ“はかなき人生”より
  • 寺嶋陸也:かーちーべー(夏至南風)~独奏ヴァイオリンのための~
  • メンデルスゾーン:歌の翼に Op.34-2
  • ラヴェル:ツィガーヌ

曲目解説にかえて
 ~川畠成道(かわばたなりみち) みずからの言葉で~
寺嶋陸也氏による解説が1曲あります(*印)

ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ト短調《悪魔のトリル》
Violin Sonata in G Minor “Le trile de diable” (arr:F.Kreisler for violin and piano)
G.タルティーニ Giuseppe Tartini(1692-1770)

時はバロック時代、演奏家に創作力とアドリブの能力が求められていた時代に生きた、若き名ヴァイオリニストで作曲家のタルティーニは、ある夜ヴァイオリンを弾く悪魔の夢を見る。夢の中で悪魔が彼に聴かせたものは、この世のものとは思えない見事なトリルで、感動のうちに夢から覚めたタルティーニは、すぐにそれを楽譜に書きとめた。それがこの「悪魔のトリル」である。
出だしのフレーズも、聴く者の心を惑わすように美しいが、やはりその後に続く、カデンツァを含む中間部での華麗な超絶技巧は圧巻だろう。1998年のデビューコンサート以来、何度となくプログラムに選んできたが、未だにこの魅惑的な作品を弾くことに魅せられている。あたかも、その悪魔的魅力の虜となっているかのように。

踊る人形
Marionettes, No.2. La Poupee valsante (arr:F.Kreisler for violin and piano)
E.ポルディーニ Ede Poldini(1869-1957)

原作はピアノ独奏曲ワルツを踊る人形、そのタイトルの通りかわいらしくも優雅に踊る人形が脳裏に浮かぶ。華美な装飾や洗練さとはむしろ対極にあるアンティークな表現を心掛けたい。

スペイン舞曲 第1番 オペラ“はかなき人生”より
Spanish Dance No.1 from "La Vida Breve“
M.ファリャ Manuel de Falla y Matheu(1826-1946)

スペインの作曲家ファリャがこの曲を書いた1904年、時代は20世紀を迎えて、芸術は新たな流れの中に突入しようとしていた。この曲は、サルスエラ(zarzuela)と呼ばれる、伝統的スタイルに基づいて書かれているが、スペイン風のリズムやメロディー、そして生き生きとした色彩豊かなところは、ファリャの代表作、バレエ“三角帽子”で衣装を手がけた、彼と同じアンダルシア地方出身の画家、ピカソの、強烈なまでに明るい画を想い浮かばせるものだ。

かーちーべー(夏至南風)
~独奏ヴァイオリンのための~
Kachibe(Southern wind of midsummer in Okinawa)for violine solo
寺嶋陸也 Rikuya Terashima(1964‐)
*解説:寺嶋陸也

「かーちーべー(げし なんぷう)」は、沖縄で梅雨明けとともに吹く季節風。八重山では「かーちーばい」と呼ばれるなど、呼び名には地域差があるようだが、沖縄での梅雨明けはたいてい夏至の頃で、6月23日の「沖縄慰霊の日」ともほぼ重なる。「慰霊の日」には沖縄全戦没者追悼式が行われ、その一部は毎年テレビで放映されネットで見ることもできるのだが、式の中では、公募によってえらばれた小・中・高校生の「平和の詩」が作者自身によって朗読されることになっていて、毎年すばらしい詩の朗読を聞くことができる。ある年に朗読された詩でこの「かーちーべー」という言葉を知ったが、曲を作りながら、慰霊の日の頃に吹くこの南風が何を運んでくるのだろうかと想像をめぐらせてみた。

歌の翼に Op.34-2
On Wings of song Op.34-2
F.メンデルスゾーン Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy(1809-1847)

原曲はハイネの詩に基づく1834年の歌曲。メンデルスゾーンは私の中で特別な位置をしめている作曲家である。1998年の音楽界へのデビュー、1999年リリースのファーストアルバム、いずれも彼の作品を取り上げている。この伸びやかで雲ひとつない澄みきった青空を連想させる旋律にふれるたび、まだデビュー間もない頃の自分自身や未来に向けての淡い期待と不安が交差した心情を思い出す。素朴な少年のような心をもって、この作品を歌い上げたいと思う。

ツィガーヌ
Tzigane
M.ラヴェル Joseph-Maurice Ravel(1875-1937)

フランス人作曲家ラヴェルは生涯を通してフランス以外の音楽文化に強い関心を寄せており、1924年にツィガーヌを作曲したきっかけになったのも、ハンガリー生まれの女流ヴァイオリニスト、イエリー・ダラニーが、即興演奏しているのを聴いて、彼女の為に書いたと言われている。第一の特徴は、曲の半分近くを占める冒頭の長い即興風のカデンツァであろう。特にその前半部分はヴァイオリンの最低弦であるG線1本で奏される。その後、主題が激しく展開されてゆくが、ヴァイオリンの様々な機能を生かして進行していくので、奏者にとっては、段落ごとに楽しみが持てる曲だと思う。ツィガーヌとはドイツ語では「ツィゴイナー」のことであるが、ジプシー音楽のリズムや特長を大胆に採り入れた作品である。

出演者プロフィール

川畠成道(かわばたなりみち)プロフィール

1971年、東京生まれ。視覚障害を負った幼少期にヴァイオリンと出会い音楽の勉強を始める。桐朋学園大学卒業後、英国王立音楽院へ留学。1997年、同院を同院史上2人目となるスペシャル・アーティスト・ステイタスの称号を授与され首席卒業。1998年、東京・サントリーホールにおいて小林研一郎指揮、日本フィルハーモニー交響楽団との共演でデビュー。その後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開し、毎年数多くのリサイタルと国内外の主要オーケストラと多数共演を行っている。2004年、英国にてマリア・ジョアン・ピリス、ハインリッヒ・シフ等と共にチャールズ皇太子主催のリサイタルシリーズに邦人アーティストとして唯一人招かれ、英国人ピアニストとのデュオで高い評価を得る。2005年、イタリア・ボローニャ歌劇場にて開催されたボローニャ歌劇場室内合奏団とのヴィヴァルディ「四季」の演奏は、満員の観衆が総立ちとなる喝采を受ける。2006年は、ユベール・スダーン指揮ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の日本ツアーのソリストに起用された他、米国、中国等でリサイタルツアーを開催。2007年、スロヴェニア国立マリボール歌劇場管弦楽団との共演でヴォルフ=フェラーリ作曲「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を日本初演、また同楽団のスロヴェニア公演でもソリストを務める。2011年には、欧州最高のオーケストラのひとつであるキエフ国立フィルハーモニー交響楽団の日本ツアーのソリストとして成功を収め、2013年、2019年にも再び共演するなど、着実な歩みを進めている。CDは、1999年リリースのファーストアルバム「歌の翼に」、セカンドアルバム「アヴェ・マリア」(ビクターエンタテインメント)が20万枚の記録的大ヒットとなり各地で売り切れ公演が続出、大きな話題を集めて以来、2018年のデビュー20周年記念アルバム「J.S.BACH 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータBWV1001-1006」まで15枚をリリースしている。尚、デビュー10周年記念CD「ザ・ベスト」と11枚目のCD「川畠成道|クライスラーを弾く」、13枚目の「無伴奏の世界|川畠成道」は、レコード芸術誌で特選盤に選ばれている。「徹子の部屋」、「スタジオパークからこんにちは」などのテレビ番組にも出演。エフエム世田谷「川畠成道のレディオ・ストリングス」では5年間パーソナリティーを務めた。弦楽器専門誌 「サラサーテ」における連載は2007年より継続、好評を得ている。デビュー当初より音楽活動の傍ら、積極的に国内外でチャリティコンサートを行う。中学音楽鑑賞教材や高校英語・現代文教科書、高校入試問題やNHKラジオ高校講座「現代文」に映像や文章が使用される等、社会派アーティストとしても多方面に影響を与えている。文部科学省スペシャルサポート大使。日本弦楽指導者協会関東支部所属。

川畠成道(かわばたなりみち)オフィシャルサイト
http://www.kawabatanarimichi.jp

寺嶋 陸也(てらしまりくや)プロフィール

1964年生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒、同大学院修了。オペラシアターこんにゃく座での活動や、1997年東京都現代美術館でのポンピドー・コレクション展開催記念サティ連続コンサート「伝統の変装」、2003年パリ日本文化会館における作品個展「東洋・西洋の音楽の交流」などは高く評価され、2006年にはタングルウッド音楽祭に招かれボストン交響楽団のメンバーと自作を含む室内楽を演奏した。作曲、ピアノ演奏のほか、東京室内歌劇場やびわ湖ホールのオペラ公演の指揮など、活動は多方面にわたる。オペラ『あん』『グスコーブドリの伝記』『ヒト・マル』『ガリレイの生涯』『末摘花』、合唱オペラ『そして旅に出た』、合唱劇『星の王子さま』、『尺八・二十絃箏と管弦楽のための協奏曲』、合唱のための『詩篇第49番』『沖縄のスケッチ』、オーボエ・三味線と打楽器のための『異郷の景色』、古代復元楽器のための『大陸・半島・島』など作品多数。「大陸・半島・島/寺嶋陸也作品集」(ALCD9026)、「二月から十一月への愛のうた(栗山文昭の芸術2/寺嶋陸也作品集)」(VICS61092)「寺嶋陸也plays林光」(NARD5034)「寺嶋陸也ピアノリサイタル~シューベルト3大ソナタを弾く~」(NARC2129~30 )など、多くのCDがある。お茶の水女子大学文教育学部非常勤講師。

寺嶋陸也ホームページ
http://www.gregorio.jp/terashima/