日本ユニシス・プレゼンツ

川畠成道(かわばたなりみち)ニューイヤーコンサート 2021パンフレット

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日本ユニシス・プレゼンツ
川畠成道(かわばたなりみち)ニューイヤーコンサート2021

~ ベートーヴェン生誕250周年 ~
ベートーヴェンと同年に生まれた名器で奏でる世界
いにしえのかなたに思いを馳せて

  • 2021年1月30日(土)紀尾井ホール 13:30開演(12:30開場)
  • 出演:
    川畠成道 かわばたなりみち(ヴァイオリン)
    須関裕子 すせきひろこ(ピアノ)

〈主催〉川畠成道音楽事務所
〈協賛〉日本ユニシス株式会社
〈協力〉社会福祉法人 日本点字図書館、東京視覚障害者生活支援センター、株式会社テンポプリモ、株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

ごあいさつ

 「日本ユニシス・プレゼンツ川畠成道ニューイヤーコンサート2020」にご来場いただきまして誠にありがとうございます。
 私たちは、川畠成道さんの音楽性、平和への願い、医療・福祉・教育分野での社会貢献活動や若い人の育成などの活動に共感し、1998年のデビューからオフィシャル・サポート活動を継続してまいりました。
2019年には「川畠成道コンサートプログラム」が公益社団法人企業メセナ協議会様の「メセナアワード2019」優秀賞「耳を澄ませば心に響く賞」を受賞いたしました。本受賞は、川畠成道さん、私たち、そしてご参加いただいたすべての皆さまとのご縁によるものと思っております。深く御礼申し上げます。
 今年も本コンサートには目のご不自由な方々をお招きし、日本ユニシスグループの社員ボランティアが送迎や場内移動のサポートをさせていただいています。
 新年のひととき、想いを胸に、川畠成道さんの奏でる、心に響くヴァイオリンの音色をお楽しみいただければ幸いです。

2020年1月25日
日本ユニシス株式会社

新春によせて

 新年あけましておめでとうございます。2020年が皆様にとりまして素晴らしい年となりますよう心よりお祈りいたします。

 毎年本公演ではベートーヴェンのソナタを取り上げてまいりました。そして今年2020年は、ベートーヴェン生誕250年にあたります。私も一年をかけ、偉大な楽聖の世界に近づけるよう努力していきたいと思います。
 その第一歩として本日は“ヴァイオリン・ソナタ 第10番”を演奏いたします。彼の最後のソナタである本作品は、様々な苦難を乗り越えた後に到達し得る境地を感じさせてくれます。さらに今年は私の愛器ガダニーニも生誕250年を迎え、私にとっては二重の記念イヤーを過ごすことになります。この四半世紀をともに歩んできた相棒を手に、皆様に楽しんでいただける音楽創りに、今後とも邁進してまいります。

 最後になりましたが、毎年本公演にご尽力いただいております日本ユニシス株式会社の皆様に、心より御礼申し上げます。

川畠 成道

プログラム

前 半
  • モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第18番 ト長調 K.301
    第1楽章:Allegro con spirit 第2楽章:Allegro
  • ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第10番 ト長調 Op.96 第1楽章:Allegro moderato 第2楽章:Adagio espressivo 第3楽章:Scherzo. Allegro 第4楽章:Poco Allegretto
休 憩  20分
後 半
  • クライスラー:ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
  • ベートーヴェン:ロマンス 第1番 ト長調 Op.40
  • シューベルト:アヴェ・マリア
  • パガニーニ:イ・パルピティ Op.13
    ロッシーニのアリア 「こんなに胸騒ぎが」 による序奏と主題と変奏曲

※やむを得ない事情により、出演者、曲目が変更になる場合がございますので、予めご了承ください。

曲目解説にかえて
 ~川畠成道 みずからの言葉で~

ヴァイオリン・ソナタ 第18番 ト長調 K.301
Violin Sonata No. 18 in G Major K.301
W.A.モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart(1756-1791)

第1楽章:Allegro con spirit

第2楽章:Allegro

春の息吹を感じさせる冒頭のさわやかで生き生きした旋律。モーツァルト特有の無邪気で軽快な流れ。控えめにさりげなく、そして時にはためらいながら。 1778年にマンハイムにおいて書き上げた4曲中の第1曲目の作品であるが、マンハイムで書かれた他の作品、そしてパリで書かれたK.304と同様に1作を除き、2楽章形式(ソナタ・アレグロ楽章に続きロンドまたはメヌエットが続く)の構成となっている。これ以前のモーツァルトのヴァイオリン・ソナタは「ヴァイオリンの自由な伴奏付きピアノソナタ」としてあるが、このK.301はピアノと同等の位置へ、つまり「二重奏」へと、一歩踏み出した時期の作品でもある。 第1楽章は4分の4拍子のソナタ形式。第1主題がヴァイオリンにより提示されて始まるが、モーツァルトがヴァイオリンに主題を与えて歌わせた最初の作品でもある。そしてピアノが受け継いでいく。このような自由なやりとりは、モーツァルト形式の扱い方の典型ではあるが、華々しい「走り」がピアノにのみ与えられていることから、未だ様式による制限が窺える。第2主題は逆にピアノからヴァイオリンへと受け継がれる。展開部は第2主題が使われて始まり、再現部では主題は縮小されている。第2楽章はロンド形式。ソナタを締めくくる8分の3拍子のアレグロでは、切れの良いさわやかさがどんなにか安らぎを与えてくれるだろうか。ト短調のシチリアーノの部分もある。モーツァルトのこのソナタの草案では、彼が斬新とはいかないまでも一般的ではない何かを意図していたことが想像できる。これは、マンハイムでのフルート奏者との交流や、その当時ドイツ人の医者からフルート音楽の依頼を受けていたことが関係している可能性もある。モーツァルトはこのソナタ以外にもう1曲ト長調のソナタを書いている。ト長調という音形はヴァイオリンにとっては響きの良い開放的な調であるという点を考えるとモーツァルトのヴァイオリンに対する意識改革を窺わせるものかもしれない。

ヴァイオリン・ソナタ 第10番 ト長調 Op.96 
Violin Sonata No.10 in G Major, Op.96
L.v.ベートーヴェン Ludwig van Beethoven(1770-1827)

第1楽章:Allegro moderato

第2楽章:Adagio espressivo

第3楽章:Scherzo. Allegro

第4楽章:Poco Allegretto

このソナタは1812年12月に書き上げられた、ベートーヴェン最後のピアノとヴァイオリンのためのソナタである。この分野において前作の第9番「クロイツェル」を書いてから約9年の月日が流れていた。彼自身、このジャンルでの達成感を得たのかあるいは極めたが故の限界を感じたのか定かではない。いずれにしても全10曲のうち9番までが“ハイリゲンシュタットの遺書”を書いた30代前半までに作曲されているのに対し、唯一、40代に入り創作されている。初演は作品完成の同月1812年12月に行われ、その際ピアノを担当したルドルフ大公に献呈されている。本作品はしばしば交響曲6番田園的と評される。抗う事の出来ない運命を感じさせる「クロイツェル」に対し、様々な人生における苦難を乗り越えた先に到達しえた境地なのかもしれない。

ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
Rondino on a Theme by Beethoven
F.クライスラー Fritz Kreisler(1835-1921)

「この曲の主題はベートーヴェンの初期のあまり重要でない作品から取りました。」と クライスラー自身後に語っている。しかし楽聖の初期作品という以外、果たしてどの曲なのかなど詳しい事は良くわからない。
これも他のクライスラー作品にもみられる彼特有の謎である。 ロンディーノとは小さなロンドの意味。冒頭の主題が繰り返し登場する事で、聞き手の心に残り安心感を与える効果を生み出す。ウィーン風の優雅さをたたえた曲である。

ロマンス 第1番 ト長調 Op.40
Romance No. 1 in G Major, Op. 40
L.v.ベートーヴェン Ludwig van Beethoven(1770-1827)

ベートーヴェンは1802年、ヴァイオリンと管弦楽の為の「ロマンス」を2曲書いている。この年は彼にとってその後の人生を決して大げさではなく決定づける1年であった。なぜならその数年前より変調をきたしていた聴力の衰えがいよいよ深刻となり10月にはいわゆる“ハイリゲンシュタットの遺書”を書いている。その人生最大ともいえる苦難を乗り越えた先に多くの名作が誕生する事になるのはもはや周知の事であろう。そしてこれより数年の間に「クロイツェルソナタ」等、その後の音楽史に残る名作が数多く生まれているのも注目される点である。そのように創作活動に没入していたベートーヴェンにとってロマンスの作曲は、ある意味心の平穏を取り戻す上で大切な役割を持っていたのかもしれない。 演奏に際しては繰り返し現れる主題をいかに滑らかに且つ、変化をつけながら奏するかが問われるように思う。

アヴェ・マリア
Ave Maria
F.シューベルト Franz Peter Schubert(1797-1828)

シューベルトが父に書いた手紙には、彼自身は賛美歌や祈りの曲を書こうとした事は一度たりともないが、“アヴェ・マリア”のように、無意識のうちに自分の中で生まれてきた賛美歌と聖母への想い、そうした自然の感情が、正しい真実の信心ではないかと記されている。この曲は、英国の抒情詩人、サー・ウォルター・スコットの詩をドイツ語訳したものにシューベルトが曲をつけたもので、ラテン語のアヴェ・マリアとは歌詞の内容も全く違うものだが、その魂を揺すぶるようなメロディーは崇高で美しいものだ。

イ・パルピティOp.13
ロッシーニのアリア〈こんなに胸騒ぎが〉による序奏と主題と変奏曲 I Palpiti Op.13
N.パガニーニ Nicolo Paganini(1782-1840)

ヴァイオリン演奏の歴史は17世紀頃よりイタリアを中心として始まる。これはかの地でストラディバリをはじめとする名工が次々に名器を生み出していったことと無縁ではないだろう。甘美な音色を持つ楽器はヴァイオリニスト達の表現意欲を刺激しそこから新しい技が開発されていった。そして19世紀初頭、パガニーニの登場により演奏技法はほぼ完成を遂げる。現代の我々ヴァイオリニストが日々取り組んでいるのも、主として彼の残した遺産をいかに弾きこなすかというものである。 1816年、パガニーニはヴェネチアでロッシーニと知り合い以後親しく交流していく事になる。そしてその出会いより3年前に初演されたロッシーニのオペラ「タンクレディ」の第一幕で歌われるアリア“こんなに胸騒ぎが”を用い変奏曲を作曲した。ともするとその超絶技巧に目を奪われてしまう程技の限りを尽くした作品だが、その音楽の真髄は前述したようヴァイオリンという楽器をいかに響かせるかではないだろうか。その域に到達し得た時ようやくパガニーニの世界を見るのかもしれない。

出演者プロフィール

川畠成道プロフィール

1971年、東京生まれ。視覚障害を負った幼少期にヴァイオリンと出会い、音楽の勉強を始める。桐朋学園大学卒業後、英国王立音楽院へ留学。1997年、同院を同院史上2人目となるスペシャル・アーティスト・ステイタスの称号を授与され首席卒業。1998年、東京・サントリーホールにおいて小林研一郎指揮、日本フィルハーモニー交響楽団との共演でデビュー。その後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開し、毎年数多くのリサイタルと国内外の主要オーケストラと多数共演を行っている。2004年、英国にてマリア・ジョアン・ピリス、ハインリッヒ・シフ等と共にチャールズ皇太子主催のリサイタルシリーズに邦人アーティストとして唯一人招かれ、英国人ピアニストとのデュオで高い評価を得る。2005年、イタリア・ボローニャ歌劇場にて開催されたボローニャ歌劇場室内合奏団とのヴィヴァルディ「四季」の演奏は、満員の観衆が総立ちとなる喝采を受ける。2006年は、ユベール・スダーン指揮ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の日本ツアーのソリストに起用された他、米国、中国等でリサイタルツアーを開催。2007年、スロヴェニア国立マリボール歌劇場管弦楽団との共演でヴォルフ=フェラーリ作曲「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を日本初演、また同楽団のスロヴェニア公演でもソリストを務める。2011年には、欧州最高のオーケストラのひとつであるキエフ国立フィルハーモニー交響楽団の日本ツアーのソリストとして成功を収め、2013年、2019年にも再び共演するなど、着実な歩みを進めている。
CDは、1999年リリースのファーストアルバム「歌の翼に」(ビクターエンタテインメント)が20万枚の記録的大ヒットとなり各地で売り切れ公演が続出、大きな話題を集めて以来、2018年のデビュー20周年記念アルバム「J.S.BACH 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータBWV1001-1006」まで15枚をリリースしている。尚、デビュー10周年記念CD「ザ・ベスト」と11枚目のCD「川畠成道|クライスラーを弾く」、13枚目の「無伴奏の世界|川畠成道」は、「レコード芸術誌」で特選盤に選ばれている。
「徹子の部屋」、「スタジオパークからこんにちは」などのテレビ番組にも出演。エフエム世田谷「川畠成道のレディオ・ストリングス」では5年間パーソナリティーを務めた。弦楽器専門誌 「サラサーテ」における連載は、2007年より継続、好評を得ている。
デビュー当初より音楽活動の傍ら、積極的に国内外でチャリティコンサートを行う。
中学音楽鑑賞教材や高校英語・現代文教科書、高校入試問題やNHKラジオ高校講座「現代文」に映像や文章が使用される等、社会派アーティストとしても多方面に影響を与えている。
文部科学省スペシャルサポート大使。日本弦楽指導者協会関東支部所属。

川畠成道オフィシャルサイト
http://www.kawabatanarimichi.jp

須関裕子(すせきひろこ)プロフィール

桐朋学園大学音楽学部卒業、同研究科を首席修了。16歳で第2回チェルニー=ステファンスカ国際ピアノコンクールにて第1位、併せてステファンスカ賞、遠藤郁子賞受賞。翌年ポーランド各地でリサイタルを行う。第18回園田高弘賞ピアノコンクール第3位。第16回宝塚ベガ音楽コンクール第1位。第3回国際室内楽アカデミー(ドイツ)にてグランプリを受賞。野平一郎氏プロデュース「ピアノ伴奏法講座」2008~2010年度受講生。ソリストとして、秋山和慶氏指揮・大阪フィルハーモニー交響楽団、長田雅人氏指揮・ふじのくに交響楽団、新田孝氏指揮・ニッポンシンフォニー、鈴木秀美氏指揮・静岡交響楽団、東京フィルハーモニー室内合奏団と協奏曲を共演。NHK-FMやTOKAIケーブルネットワーク「静響アワー」等に出演。室内楽・アンサンブル奏者として国内外の音楽家からの信望も厚く、堤剛氏をはじめ多くの演奏家のリサイタルやCD等で共演している。2018年2月、初のソロCD「La Campanella」リリース。
これまでに穐吉慶子、寺西昭子、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、野平多美の各氏に師事。桐朋女子高等学校および桐朋学園大学非常勤講師(ナンバリズミック)。

コンサートインフォメーション

*** 本日ロビーにて特別販売しております ***

チャリティープログラム2020 川畠成道 ヴァイオリンリサイタル ~ベートーヴェンへの旅路~

日時 2020年3月21日(土)13:30開演(13:00開場)
会場 紀尾井ホール
出演 川畠 成道(ヴァイオリン)
山口研生(ピアノ)
曲目
  • ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 Op.47 「クロイツェル」
  • シューベルト:アヴェ・マリア
チケット代金 S席5,500円、A席4,500円、学生券3,000円

川畠成道グランドファミリーコンサート2020

日時 2020年5月23日(土)13:30開演(13:00開場)
会場 紀尾井ホール
出演 川畠 成道(ヴァイオリン)
佐藤 勝重(ピアノ)
曲目
  • ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 Op.24 「春」
  • パガニーニ(クライスラー編):ラ・カンパネラ
チケット代金 S席5,500円、A席4,500円、U25券3,000円

川畠成道オフィシャルファンクラブ「川畠成道の会」入会のご案内

当会は、ヴァイオリニスト川畠成道の活動をサポートする会です。コンサートチケットの優先予約や、情報満載「会報誌」のお届け、そして会員ならではの楽しい企画もご用意しております。皆様のご入会を心よりお待ち申し上げております。

お問合せ

「川畠成道の会」事務局
〒107-0062 東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山402号(川畠成道音楽事務所内)
TEL:080-5504-7131(受付日時:毎週木曜13時~16時半)
FAX:03-6438-9694
E-Mail:narimichinokai@music.so-net.ne.jp