日本ユニシス・プレゼンツ

川畠成道(かわばたなりみち)ニューイヤーコンサート 2019パンフレット

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日本ユニシス・プレゼンツ
川畠成道(かわばたなりみち)ニューイヤーコンサート2019

  • 2019年1月26日(土)紀尾井ホール 13:30開演(13:00開場)
  • 出演:
    川畠成道 かわばたなりみち(ヴァイオリン)
    須関裕子 すせきひろこ(ピアノ)

〈主催〉川畠成道音楽事務所
〈協賛〉日本ユニシス株式会社
〈協力〉社会福祉法人 日本点字図書館、東京視覚障害者生活支援センター、株式会社テンポプリモ、株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

ごあいさつ

 本日は、「日本ユニシス・プレゼンツ 川畠成道ニューイヤーコンサート2019」にご来場いただきまして誠にありがとうございます。

 日本ユニシスグループは、「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、環境・社会の課題に真摯に取り組み、社会の持続的な発展に貢献することを通じ、自らもサステナブルな企業を目指しています。

 2018年、川畠成道さんは、デビュー20周年を迎えられました。私たちは、世界的ヴァイオリニストで2017年に文部科学省の「スペシャルサポート大使」に就任された川畠成道さんの音楽性、平和への願い、医療・福祉・教育分野での社会貢献活動や若い人の育成などの活動に共感し、1998年のデビューからオフィシャル・サポート活動を継続してまいりました。

 本日のコンサートには目の不自由な方々もお招きし、すべての人たちにコンサートを共に楽しんでいただくため、日本ユニシスグループの社員ボランティアがサポートをさせていただいています。

 川畠成道さんの奏でる、心に響くヴァイオリンの音色で、1年の始まりにふさわしい、心躍るステージを存分にお楽しみいただければ幸いです。

2019年1月26日
日本ユニシス株式会社

新春によせて

 新年明けましておめでとうございます。2019年が皆様にとり素晴らしい年となりますよう心からお祈り申し上げます。

 今年も例年通りベートーヴェン作品で新たな年の幕開けを迎えたいと思います。このソナタ第5番は季節を問わず様々なステージで演奏して参りましたが、やはり新年に奏するのが最もふさわしいと感じます。さわやかなスプリングソナタに続き、新たなレパートリーとしてサン=サーンスのソナタを演奏いたします。以前より是非レパートリーにと考えていた作品ですが、深刻さの中に優美さと華やかさを合わせ持つ作品です。後半にはデビュー以来弾き続けている作品を用意いたしました。それぞれの作品にはその曲が生まれた時代背景や作曲家の境遇や思いなど様々な要素が込められています。その貴重な遺産を奏することで作品に命を与えることが、我々演奏家に与えられた使命だと思います。本年もそのことを肝に銘じ歩んで参りたいと考えております。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 最後になりましたが、毎年このニューイヤーコンサートを応援して下さっている日本ユニシス株式会社の皆様に心より感謝申し上げます。

川畠 成道

プログラム

前 半
  • ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ  第5番 ヘ長調 Op.24「春」
    第1楽章:Allegro 第2楽章:Adagio molto espressivo 第3楽章:Scherzo,Allegro molto 第4楽章:Rondo,Allegro ma non troppo
  • サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75
休 憩  20分
後 半
  • ヴィエニアフスキ:モスクワの想い出 Op.6
  • グノー:アヴェ・マリア
  • ラヴェル:ツィガーヌ

※やむを得ない事情により、出演者、曲目が変更になる場合がございますので、予めご了承ください。

曲目解説にかえて
 ~川畠成道 みずからの言葉で~

ヴァイオリン・ソナタ 第5番 へ長調 Op.24「春」
Violin Sonata No.5 in F Major, Op. 24
L.V.ベートーヴェン Ludwig van Beethoven(1770-1827)

第1楽章:Allegro

第2楽章:Adagio molto espressivo

第3楽章:Scherzo,Allegro molto

第4楽章:Rondo,Allegro ma non troppo

早春の若葉の香り、そして緑萠える春は希望や勇気をいだかせてくれる。くもり空の多いヨーロッパの冬、そして昼下がりともなれば陽が傾きやがて日没を迎える北国では、春を待ちわびる気持ちには、日本の人々には想像を絶する思いがあるのかもしれない。明るい希望に満ちあふれた旋律から始まり、まさに春にふさわしい曲である。
とはいえこの作品に用いられるタイトル“春”はベートーヴェン自身の命名ではない。しかしながら後年誰かによって名づけられたこのタイトルは、まさに作品中の表現描写と重なるものと言えるだろう。悲劇的な様相をたたえた作品が多く見受けられるベートーヴェンのソナタの中でも特異な存在と言える。苦悩や精神性など彼の生涯を通じてのテーマからも幾分開放されているかのようにも感じられる。しかしこの作品が生まれた1801年は「ハイリゲンシュタットの遺書」を書く前年であり、聴力の問題は絶望的な段階まで進行していたと思われる。それゆえ自身の作品において現実とは別の希望や明るさを求めたのかも知れない。

ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75
Violin Sonata No.1 in D Minor, Op.75
C.サン=サーンス Charles Camille Saint-Saens(1835-1921)

カミーユ・サン=サーンスはモーツアルトとしばしば比較されるほどの神童であった。一説には2歳でピアノを弾き3歳で作曲を始め、10歳の時にはベートーヴェンのピアノソナタ全曲をマスターしていたという。また16歳の時に初めての交響曲を作曲しており、その点においては同じく10代後半で「真夏の世の夢」を書き上げたメンデルスゾーン同様に早熟の作曲家と言えるのかも知れない。作風に関しては古典的と言われるが、20世紀に入ると極めて早い時期にもかかわらず映画音楽を書くなど、新たな分野に対する好奇心ものぞかせる。また音楽以外の分野にも造詣が深く、その知識は天文学や数学絵画などにも及んでいる。更には哲学論文や詩の執筆なども行い、その様な学識の高さも彼の作品に大きく反映されていると思う。

このソナタは1885年に作曲されている。同時期に作られた作品としては「交響曲第3番オルガン付き」や、「動物の謝肉祭」など彼の代表作が多く存在する。しばしばその作風が古典的と評されるサン=サーンスだがこの時期に入ると、それら代表作にも表れているように作品に対して実験的な試みを行うようになる。本ソナタにおいてサン=サーンスが行った実験的試みであり、最大の特徴とも言えるのが曲全体をいくつの楽章としてとらえるか、謎めいた作りとなっている点が挙げられる。構成としては緩急緩急の古典的な4楽章形式とみることもできるが、その全体を前後半に分け2楽章形式との意見も存在する。そして全体をアタッカ(切れ目なく演奏すること)として大きな1楽章との見方もあり、その解釈は様々である。もう一つの特徴としては彼がこの時期、「交響曲第3番オルガン付き」などにも用いた循環形式が挙げられる。循環形式とは同じ動機や旋律を曲全体に登場させ曲に統一感を与える手法。この手法を用いた代表的ヴァイオリン曲として、セザール・フランクの「ヴァイオリンソナタ」があるが、サン=サーンスはこの曲をフランクより約1年早く書き上げており、もしかしたらこのソナタがフランクに影響を与えた可能性があるのか興味が持たれるところである。

モスクワの想い出 Op.6
Souvenir de Moscou Op.6
H.ヴィエニアフスキ Henryk Wieniawski(1835-1880)

この作品はヴィエニアフスキがペテルブルグ時代に耳にした2つの民謡「赤いサラファン」「馬に鞍をつけて」のテーマを用いた変奏曲となっている。冒頭ピアノとヴァイオリンが交互に赤いサラファンの旋律を暗示させる断片的なフレーズを奏する。元来超絶技巧と情熱的な表現が特徴のヴィエニアフスキ作品であるが、ここでは民謡の持つ素朴さを失わないよう滑らかな表現を心がけたい。序奏部に続きようやく「赤いサラファン」の旋律が登場し、それに2つの変奏曲が続く。後半は「馬に鞍をつけて」が表われ、その後3つの変奏曲が次々と登場する。しかしそれらは切れ目なく奏され、あたかも1つの大きなうねりのようである。終曲に向け力強さとスピード感を徐々に高め華やかにかつ断定的に幕切れを迎える。

アヴェ・マリア
Ave Maria
C.グノー Charles Francois Gounod(1818-1893)

1980年、8歳で命の危なかった見ず知らずの私のことを、我が子と思って献身的に世話をして下さった今は亡き、はる子さんのアメリカンネームもマリアンであった。2000年秋、20年ぶりに訪れたロサンゼルスのコンサートで、最後に演奏したのもこの曲であった。この曲を演奏すると、これまで辿ってきた道を思い、自分を支えてくれた多くの方々への感謝の気持ちでいっぱいになる。J.S.バッハの《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》の「前奏曲 第1番 ハ長調」にラテン語の聖句「アヴェ・マリア」を乗せ、1859年に作曲された。尚、正確には前奏曲1番の22小節目の後に1小節だけ新しい音形が加えられている。

ツィガーヌ
Tzigane
M.ラヴェル Joseph-Maurice Ravel(1875-1937)

フランス人作曲家ラヴェルは生涯を通してフランス以外の音楽文化に強い関心を寄せており、1924年にツィガーヌを作曲したきっかけになったのも、ハンガリー生まれの女流ヴァイオリニスト、イエリー・ダラニーが、即興演奏しているのを聴いて、彼女の為に書いたと言われている。 第一の特徴は、曲の半分近くを占める冒頭の長い即興風のカデンツァであろう。特にその前半部分はヴァイオリンの最低弦であるG線1本で奏される。その後、主題が激しく展開されてゆくが、ヴァイオリンの様々な機能を生かして進行していくので、奏者にとっては、段落ごとに楽しみが持てる曲だと思う。ツィガーヌとはドイツ語では「ツィゴイナー」のことであるが、ジプシー音楽のリズムや特長を大胆に採り入れた作品である。

出演者プロフィール

川畠成道プロフィール

1971年、東京生まれ。視覚障害を負った幼少期にヴァイオリンと出会い、音楽の勉強を始める。桐朋学園大学卒業後、英国王立音楽院へ留学。1997年、同院を同院史上2人目となるスペシャル・アーティスト・ステイタスの称号を授与され首席卒業。1998年、東京・サントリーホールにおいて小林研一郎指揮、日本フィルハーモニー交響楽団との共演でデビュー。その後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開し、毎年数多くのリサイタルと国内外の主要オーケストラと多数共演を行っている。2004年、英国にてマリア・ジョアン・ピリス、ハインリッヒ・シフ等と共にチャールズ皇太子主催のリサイタルシリーズに邦人アーティストとして唯一人招かれ、英国人ピアニストとのデュオで高い評価を得る。2005年、イタリア・ボローニャ歌劇場にて開催されたボローニャ歌劇場室内合奏団とのヴィヴァルディ「四季」の演奏は、満員の観衆が総立ちとなる喝采を受ける。2006年は、ユベール・スダーン指揮ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の日本ツアーのソリストに起用された他、米国、中国等でリサイタルツアーを開催。2007年、スロヴェニア国立マリボール歌劇場管弦楽団との共演でヴォルフ=フェラーリ作曲「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を日本初演、また同楽団のスロヴェニア公演でもソリストを務める。2011年には、欧州最高のオーケストラのひとつであるキエフ国立フィルハーモニー交響楽団の日本ツアーのソリストとして成功を収め、2013年にも再び共演するなど、着実な歩みを進めている。
CDは、1999年リリースのファーストアルバム「歌の翼に」(ビクターエンタテインメント)が20万枚の記録的大ヒットとなり各地で売り切れ公演が続出、大きな話題を集めて以来、2018年のデビュー20周年記念アルバム「J.S.BACH 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータBWV1001-1006」まで15枚をリリースしている。尚、デビュー10周年記念CD「ザ・ベスト」と11枚目のCD「川畠成道|クライスラーを弾く」、13枚目の「無伴奏の世界|川畠成道」は、「レコード芸術誌」で特選盤に選ばれている。
「徹子の部屋」、「スタジオパークからこんにちは」などのテレビ番組にも出演。エフエム世田谷「川畠成道のレディオ・ストリングス」では5年間パーソナリティーを務めた。弦楽器専門誌 「サラサーテ」における連載は、2007年より継続、好評を得ている。
デビュー当初より音楽活動の傍ら、積極的に国内外でチャリティコンサートを行う。
中学音楽鑑賞教材や高校英語・現代文教科書、高校入試問題やNHKラジオ高校講座「現代文」に映像や文章が使用される等、社会派アーティストとしても多方面に影響を与えている。
文部科学省スペシャルサポート大使。
日本弦楽指導者協会関東支部理事。

川畠成道オフィシャルサイト
http://www.kawabatanarimichi.jp

須関裕子(すせきひろこ)プロフィール

桐朋学園大学音楽学部卒業、同研究科を首席修了。16歳で第2回チェルニー=ステファンスカ国際ピアノコンクールにて第1位、併せてステファンスカ賞、遠藤郁子賞受賞。翌年ポーランド各地でリサイタルを行う。第18回園田高弘賞ピアノコンクール第3位。第16回宝塚ベガ音楽コンクール第1位。第3回国際室内楽アカデミー(ドイツ)にてグランプリを受賞。野平一郎氏プロデュース「ピアノ伴奏法講座」2008~2010年度受講生。ソリストとして、秋山和慶氏指揮・大阪フィルハーモニー交響楽団、長田雅人氏指揮・ふじのくに交響楽団、新田孝氏指揮・ニッポンシンフォニー、鈴木秀美氏指揮・静岡交響楽団、東京フィルハーモニー室内合奏団と協奏曲を共演。NHK-FMやTOKAIケーブルネットワーク「静響アワー」等に出演。室内楽・アンサンブル奏者として国内外の音楽家からの信望も厚く、堤剛氏をはじめ多くの演奏家のリサイタルやCD等で共演している。2018年2月、初のソロCD「La Campanella」リリース。
これまでに穐吉慶子、寺西昭子、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、野平多美の各氏に師事。桐朋女子高等学校および桐朋学園大学非常勤講師(ナンバリズミック)。

コンサートインフォメーション

*** 本日ロビーにて特別販売しております ***

チャリティープログラム2019 デビュー20周年記念 川畠成道 ヴァイオリンリサイタル

日時 2019年3月23日(土)13:30開演(13:00開場)
会場 紀尾井ホール
出演 川畠 成道(ヴァイオリン)
山口研生(ピアノ)
20th特別編成合奏団
曲目
  • ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 Op.8 「四季」全曲
  • クライスラー:前奏曲とアレグロ
  • パガニーニ:《モーゼ》の主題による変奏曲
  • グノー:アヴェ・マリア
チケット代金 S席5,500円、A席4,500円、学生券3,000円

川畠成道グランドファミリーコンサート2019

日時 2019年5月25日(土)13:30開演(13:00開場)
会場 紀尾井ホール
出演 川畠 成道(ヴァイオリン)
佐藤 勝重(ピアノ)
曲目
  • モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第28番 ホ短調 K.304
  • エルガー:愛の挨拶
  • ドヴォルザーク:わが母の教え給えし歌
  • チャイコフスキー:瞑想曲《なつかしい土地の思い出》より Op.42-1
  • チャイコフスキー:感傷的なワルツ Op.51-6
  • サン=サーンス:白鳥〈組曲“動物の謝肉祭”〉より
チケット代金 S席5,500円、A席4,500円、U25券3,000円

川畠成道オフィシャルファンクラブ「川畠成道の会」入会のご案内

当会は、ヴァイオリニスト川畠成道の活動をサポートする会です。コンサートチケットの優先予約や、情報満載「会報誌」のお届け、そして会員ならではの楽しい企画もご用意しております。皆様のご入会を心よりお待ち申し上げております。

お問合せ

「川畠成道の会」事務局
〒107-0062 東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山402号(川畠成道音楽事務所内)
TEL:080-5504-7131(受付日時:毎週木曜13時~16時半)
FAX:03-6438-9694
E-Mail:narimichinokai@music.so-net.ne.jp