日本ユニシス・プレゼンツ
川畠成道(かわばたなりみち)チャリティコンサート 2018パンフレット
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日本ユニシス・プレゼンツ
川畠成道(かわばたなりみち)チャリティコンサート2018
- 2018年8月16日(木)豊洲シビックセンター5階ホール 15:00 開演(14:00 開場)
- 出演:
川畠成道(かわばたなりみち)(ヴァイオリン)
須関裕子(ピアノ)
※やむを得ない事情により、出演者、曲目が変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
〈主催〉日本ユニシス株式会社
〈協力〉公益財団法人 江東区文化コミュニティ財団 江東区豊洲文化センター
川畠成道音楽事務所
障がいをもつ方の社会参加を支援する団体への寄付をお願いします。
- 公益財団法人 日本盲導犬協会
https://www.moudouken.net/ - 一般社団法人 江東ウィズ
http://koto-with.org/
プログラム
前 半 |
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休 憩 | 20分 |
後 半 |
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曲目解説にかえて
~川畠成道(かわばたなりみち) みずからの言葉で~
シャコンヌ ト短調
Chaconne
T.A.ヴィターリ Tomaso Antonio Vitali(1663-1745)
この作品が作られた17世紀の人々の息吹が、現在もこの曲の中に生き続けているように思う。こののびやかさ、心を解き放つ豊かな幸せ、しかも毅然とした荘厳さが全体を支配している。
シャコンヌはスペインに起こった3拍子の舞曲であるが、ヴィターリのシャコンヌは12小節のテーマから20の変奏が続く。それにしても音楽とは不思議なものだ。胸はずむ思いをさせてくれたり、涙が出るほど嬉しかったり、いじけずおおらかでいられたり、情熱や野心も与えてくれたり、どこまでも力強く思えてきて、こうしてみると人生にはなくてはならないものかもしれない。
美しきロスマリン
Schon Rosmarin
F.クライスラー Fritz Kreisler(1875-1962)
“古いウィーンの舞踏歌”の第3曲で、スタッカート奏法を多く用いている。しかし、パガニーニやサラサーテの作品にみられるような速くて鋭い技巧的なものと違い、いかにも舞踏歌といったリズムを感じさせる。細かいスタッカートひとつひとつに表情をつけて演奏したいものである。
愛の悲しみ
Liebesleid
F.クライスラー Fritz Kreisler(1875-1962)
ウィーン生まれで20世紀前半のヴァイオリンの名演奏家でもあるクライスラーの作品にはウィーンの甘さとしゃれた雰囲気があり誰しもが共感を覚えるのではないだろうか。
この作品は1905年、フリッツ・クライスラー作「ヴァイオリンとピアノのための楽曲」として出版された。邦題では「愛の悲しみ」と訳されるが、原題の「Liebesleid」のLeid とは絶望的な悲しみというより、どこかに救いや憧れを含んでいるという。演奏に際しては各フレーズごとに、あるいは同じフレーズであっても細かな音色の違いを与えることがポイントになる。各演奏家ごとにその使い分けは異なるが、その繊細な作業の積み重ねを感じて頂ければ幸いである。
愛の喜び
Liebesfreud
F.クライスラー Fritz Kreisler(1875-1962)
もしクライスラーが珠玉の名曲集を作曲していなければ、今日のヴァイオリンレパートリーはユーモアや洒脱さといった遊び心の乏しいものになっていたかもしれない。「美しきロスマリン」「愛の悲しみ」と共に3部作と呼ばれる本作品はウィーン風ワルツを受け持つピアノに乗って快活に進んで行く。明るく華やかな曲調であるが、微妙な間をどう使うかが隠れたエッセンスとなるだろう。
シンコペーション
Syncopation
F.クライスラー Fritz Kreisler(1875-1962)
シンコペーションとは通常のリズムを逆転させ裏拍を強調することで音楽に変化を与える手法。この曲にはそのリズムが散りばめられている。そしてその効果を際立たせるのが時折現れる通常のリズムとの対比であろう。太陽があるがゆえに月も輝く。表と裏のコントラストを如何に洒脱に表現するかは鍵となるだろう。
ジプシー女
La Gitana
F.クライスラー Fritz Kreisler(1875-1962)
タイトルのLa Gitana はスペイン語でジプシーの女という意味。当時のスペインの大ヴァイオリニスト、パブロ・デ・サラサーテからインスピレ-ションを受け書かれた。スペインとアラブの文化が融合しエキゾチックな描写が印象的な作品である。
ウィーン奇想曲
Caprice Viennois
(arr. F. Kreisler for violin and piano)
F.クライスラー Fritz Kreisler(1875-1962)
最近美しい言葉に対する関心が少し薄れているのではないかとよく言われるが、美しい音に対する関心もいつも持っていたいものだと思う。クライスラーはどの曲を取ってみても本当に美しい。華やかで繊細でそして控えめである。このウィーン奇想曲も知らず知らずの内にウィーンの宮廷音楽華やかりし頃へ誘われて行くようだ。
ユモレスク Op.101-7
Humoresque Op.101-7
A.ドヴォルザーク Antonin Leopold Dvo?ak(1841-1904)
ドヴォルザークは1892年にニューヨークに招かれ音楽教育にも尽力したが、この地で有名なホ短調交響曲「新世界より」などの大作を書いた。しかし郷愁を抑える事ができず、1894年夏故郷ボヘミヤに帰った。この時作曲されたのがユモレスク8曲である。ドヴォルザークが幸福感に浸っているときの作品らしく、リズミックで楽しいスケッチは広く愛好されているが、ユモレスクと言えばこの曲と言われるように特にこの第7番が知られている。。
スラブ舞曲 Op.72-2
Slavonic Dance Op.72-2
A.ドヴォルザーク Antonin Leopold Dvo?ak(1841-1904)
クライスラーはヴァイオリンのために編曲した作品をたくさん残しているが、この曲もふと口ずさんでしまうような懐かしさがあって、優しさや涙がにじんで来るような思いにあふれた美しさが伝わって来て、いつの間にか深く心に残っている事に気がつく。
わが母の教え給えし歌
Songs My Mother Taught Me
F.クライスラー Fritz Kreisler(1875-1962)
この曲は1880年ドヴォルザーク39歳の頃作曲された。それ以前のスラブ舞曲集などの成功により、作曲家としての地位を確立した彼の手による、幼少期を懐かしむかのような素朴な作品である。
タイスの瞑想曲
Meditation de “Thais”
J.マスネ Jules Emile Frederic Massenet(1842-1912)
最近美しい言葉に対する関心が少し薄れているのではないかとよく言われるが、美しい音に対する関心もいつも持っていたいものだと思う。クライスラーはどの曲を取ってみても本当に美しい。華やかで繊細でそして控えめである。このウィーン奇想曲も知らず知らずの内にウィーンの宮廷音楽華やかりし頃へ誘われて行くようだ。
ハンガリー舞曲 第1番
Hungarian Dances No.1
J.ブラームス Johannes Brahms(1833-1897)
ロマの人々の香り高いダンス。民族の悲哀が描かれているように思う。しかし、そこにも「私達の言うことも聴いて」と言う人生への切なくもたくましい声が聞こえて来るようだ。元来、ブラームスの作品は内向的で情感に満ちた作品が支配的である。しかし、ブラームスは若いころからハンガリーのロマの舞曲(チャルダッシュ)にあこがれ、スケッチブックに書き留めていた。それを素材に最初はピアノ連弾曲を作曲した。これが非常に好評だったので、ヨアヒムが直ちにヴァイオリン用に編曲した。技能的に離れ業を駆使して開放的な作品への変化に成功している。ピアニストとのやり取りも面白い。
ノクターン 嬰ハ短調 遺作
Nocturne cis-moll
(arr. N. Milstein for violin and piano)
F.ショパン Frederic Francois Chopin(1810-1849)
若き日のショパンが、ポーランド時代の1830年頃に書いた単独の小品。通称第20番として知られているが、生前には出版されず、作品番号も付いていない。大ヴァイオリニスト、ナタン・ミルシテイン(1903-1992)がヴァイオリン用に編曲して有名になった。中程に、同じ頃に完成したピアノ協奏曲第2番のメロディが一瞬顔を出す。
チャルダッシュ
Csardas
V.モンティ Vittorio Monti(1868-1922)
ハンガリーの民族音楽は、哀愁を帯びた中にも生き生きとした逞しさ、躍動するリズムを感じさせる。この曲は、ロマの人々の哀しみを歌った第一部と、器楽的な技巧を織り込んだ第二部に分かれており、ロマ音楽の代表的な形式チャルダッシュをそのまま曲のタイトルに冠している。演奏者によって様々な即興が可能な点も興味深い。
出演者プロフィール
川畠成道(かわばたなりみち)プロフィール
視覚障害を負った幼少期にヴァイオリンと出会い音楽の勉強を始める。桐朋学園大学卒業後、英国王立音楽院へ留学。1997年、同院をスペシャル・アーティスト・ステイタスの称号を授与され首席卒業。翌年、東京・サントリーホールにおいて小林研一郎指揮、日本フィルとの共演でデビュー。その後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開し毎年数多くのリサイタルを行う。国内外の主要オーケストラとも多数共演。ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団、スロヴェニア国立マリボール歌劇場管弦楽団、ボローニャ歌劇場室内合奏団などにソリストとして迎えられいずれも高い評価を得ている他、欧州最高のオーケストラのひとつであるキエフ国立フィルハーモニー交響楽団の日本ツアーのソリストとして成功を収めるなど着実な歩みを進めている。CDは、ファースト・セカンドアルバムがそれぞれ20万枚の記録的大ヒットとなり大きな話題を集めて以来14枚をリリース。尚「ザ・ベスト」と「クライスラーを弾く」、「無伴奏の世界」は、「レコード芸術誌」で特選盤に選ばれている。デビュー当初より音楽活動の傍ら、積極的に国内外でチャリティコンサートを行う。中学音楽鑑賞教材や高校英語・現代文教科書、高校入試問題やNHKラジオ高校講座「現代文」に映像や文章が使用される等、社会派アーティストとしても多方面に影響を与えている。2017年、文部科学省の「スペシャルサポート大使」に就任。
川畠成道(かわばたなりみち)オフィシャルサイト
http://www.kawabatanarimichi.jp
須関裕子プロフィール
桐朋学園大学音楽学部卒業、同研究科を首席修了。16歳で第2回チェルニー=ステファンスカ国際ピアノコンクール優勝。ポーランド各地でリサイタル。第18回園田高弘賞ピアノコンクール第3位。第16回宝塚ベガ音楽コンクール優勝。第3回国際室内楽アカデミー(ドイツ)にてグランプリ。ソリストとして、オーケストラと共演、NHK-FM等に出演。室内楽・アンサンブル奏者として国内外の音楽家からの信望も厚く、堤剛氏をはじめ、多くの演奏家のリサイタルやCD等で共演している。2018年2月、初のソロCD「La Campanella」リリース。桐朋女子高校、同大学非常勤講師(ナンバリズミック)。