かわばたなりみちオフィシャルサイト

グローバルメニュー

お知らせ

「チャリティープログラム2016」を終えて −川畠成道より−

新たな作品を開拓しレパートリーとして取り入れて行くことは、演奏活動を続けて行く上で重要である。 当然ながら新曲は既にレパートリーにあるものに比して、学ぶ段階でより多くの労力を要する。まず私の場合、暗譜する必要がある。 それから曲を形作るよう仕上げて行き演奏会に臨むが、新曲を初めてステージに乗せるのは、それ自体がより難しさを伴うものだ。 幾度もステージに上げている曲であれば、それまでの経験で自分なりの進行が読めるのだが、初めてのものはそうはいかない。 ただいずれの曲もその様なプロセスをたどり、自分のレパートリーとなっている訳で、新しい作品に触れ、作曲者の思いを感じることで、過去に弾いて来た他の作品もそれまでと違った角度で感じ得ると私は考える。

去る3月紀尾井ホールにて「チャリティープログラム2016」を行った。この時期は桜の季節でもあり、駅を降り入館するまでの道のりはとても気分が良い。今回の演目には新曲としてシューベルト:ヴァイオリンとピアノのための幻想曲を弾いた。 30分ほどの演奏中、常に精神を張り詰めているような曲だが、とりわけ冒頭の数分間はまるで呼吸をしているのも忘れてしまうほどである。 この作品を今回は敢えて演奏会冒頭に置いた。その他、約10年ぶりとなるドビュッシーのソナタや、これも新しい曲であるサラサーテ:序奏とタランテラなどを演奏した。クラシック音楽のレパートリーには限りがある。その限られた作品を長く弾き続けて行くことが、我々演奏家に与えられた役割なのだろう。 今後様々なステージでこれらの曲を弾いて行く中で、表現を更に深めて行ければと願っている。

(川畠成道)